政党の綱領

 

名称(nametechnology party(技術者党)

理念(policy:「国民経済(national economy)を取り戻す。そのために、技術者が尊重される社会、技術者の雇用が安定した社会、技術が暮らしを豊かにする社会、この三つの社会の実現を目指す」government/politics shall not interfere with technology/science

綱領(principles

 

1.設立の理由

 現代の世界はグローバル化し、国境を越えて、ヒト、モノ、カネが簡単に移動できるようになった。その結果、一体何が起こっているのか。

 例えば製造メーカーは生産コストを下げるために人件費personal expenseslabor costs)の安い国へ工場を移し、国際貿易は世界各地で自由貿易協定(Free Trade Agreement)が進められ、関税(duty, tariff は益々引き下げられている。また、世界的な金融緩和政策(easy monetary policy, a policy of  monetary relaxation)の下、投機的に(speculative)株式(かぶしき:a stock, a share)が売買(ばいばい:buying and sellingtrade)されている。その結果、例えば故意に(こいに:intentionally)、ある製造メーカーの株が売り出され、株の値段が下がったところで安く買うような企業買収(MA  merger and acquisition)が横行する(おうこう:be rampant)。そこまでひどいことにならなくても、株価が下がることで企業の収益(しゅうえき:profit)や資産(しさん:asset)は減ってしまう。

 以上のような経済のグローバル化の下、企業間の国際的な競争はますます過熱し(overheat)、グローバルに展開するわずかな数の大企業が利益を独占(どくせん:monopolize)する一方で、数多くの中小企業は競争に敗れ、市場からの撤退(てったい: withdrawal, evacuation)を余儀(よぎ)なくされている(be forced)。こうした状況の中、最も大きな損失を被っているのは誰か。それは弱小の製造メーカーを始めとする企業で働いている労働者(worker)である。彼らはすぐに給料を下げられたり、解雇(かいこ:dismiss, dischargelayoff)されたりする。彼らは最も弱い立場にあるのである。

 しかし、現在の先進国(advanced nations)の政府はどこもグローバル化を支持し、自由主義経済と競争原理を積極的に導入(どうにゅう:introduce)している。不安定な生活を強いられている労働者の雇用(こよう:employment)を守ろうとはしない。しかし経済活動の第一の目的は、本来、国民に仕事を提供することであった。そうして国民を経済的に自立させ、安定した生活を送れるようにするのが政府の仕事だったのである。それを政府が放棄(ほうき:give up, abandon)するのであれば、国民生活を守る仕事をもはや既成(きせい:established)の政党や政府に任せておくことはできない。そこで、製造メーカーを始めとする企業で働く労働者の安定した生活を守るために、私たちは立ち上がることにした。以上が、この政党を結成(けっせい:form, organize)する理由である。

 

2.参加メンバー

 ただ、この政党が代表しようとするのは、労働者全体ではない。厳密に言えば(strictly speaking)、確かに、労働者はみんな、長年(ながねん:for many years)にわたって学習と経験を積んできた熟練の(skilled, skillful, expert)技術者であると言える。技術とは、何も最新のIT分野や機械・土木・建築・電子といった高度な工学分野での研究・開発・製造だけを指すのではない。学校の先生、スーパーの店員、ファーストフード店のマネージャー、市役所の職員、会社の事務員、介護の職員、看護士、公共交通機関の運転士、あるいは医師や弁護士、会計士といった高度な専門職まで含めて、どの仕事もその仕事に必要な技術を身につかなければならない。その意味では「働く人」すべてが「技術者」だと言える。しかし、我がtechnology partyは、あくまで中小の製造メーカーを中心とする企業の現場で働く、研究・開発・製造技術者、事務員たちの代弁者(だいべんしゃ:spokesmanmouthpiece)である。

 

3.活動内容

 技術者の尊厳(そんげん:dignity, majesty)を傷つけるような過度のグローバル化、そしてそれに歩調(ほちょう:a pace)を合わせた政府の経済政策、金融政策、法律に反対し、その是正(ぜせい:correction)を目標として活動する。そのために、以下のような方法を採用する。

 

(1) 国内の製造メーカー(外資系メーカー(a company with capital participation by a foreign company)の支社、工場を含む)の技術者、事務員から国会議員候補者を募り(つのり:recruit)、選挙を通して国会に我々の代弁者を送り込む。

 

(2) 選挙に際しては、我々の候補者に投票する。また選挙においては、「国民経済」の重要性を広く有権者(ゆうけんしゃ:an eligible voter)に訴える。

 

(3) 国会において議席(seat)を得た後は、我が党の理念に基づいて活動すると共に、他の政党とも協力できるところがあれば、会派(かいは:denomination)を組み、柔軟に対応することによって、国民経済の実現を目指す。

 

(4) 技術者の社会的な地位を向上させ、市民からの尊厳を獲得(かくとく:acquire)するため、製造メーカーの技術者は常に研究・開発を怠らず(おこたらず:don't neglect)、オーストラリア市民が快適に暮らせるような製品を提供し続ける。

 

4.政策(マニフェスト)

(1) 中小製造メーカーへの減税(げんぜい:reduction of tax)の実施

  中小製造メーカーの利益・資産を守る

(2) 中小製造メーカーへの低利融資(ていり:a low rate of interest ゆうし:finance)の実施

  中小製造メーカーの設備投資(capital investment)、研究開発をサポートする。

(3) 外国企業による国内企業の買収・合併(MA merger and acquisition)の制限

  国内の製造メーカーの企業活動と雇用を守る。

(4) 国内産業の保護

  貿易の自由化を制限し、国内産業による製品の価格を維持する。

 

(4) 過度な成果主義(performance-based pay system)、能力主義の廃止(はいし:abolish

  成果主義・能力主義は従業員に競争意識をもたらし、仕事への意欲(will)や緊張感を高めるとされてきた。しかし実際にはむしろ意欲を減退(げんたい:decline)させる結果を招いている。

 そもそも個人的な成果を公平に評価することは簡単ではない。製造メーカーでの研究開発や生産・製造活動のほとんど全てはチーム単位で行われるためだ。その集団が出した成果を特定の個人だけに帰属させる(return)ことはできない。無理にそうすることで、かえってチーム内の他のメンバーの「やる気」をそぐ(decline)ことになる。 

 また、自分の成果を誰よりも優れたものにしようと、同僚(どうりょう:fellow worker)の仕事を邪魔したり、「足を引っ張ったり」することがある。つまり「利己主義」(りこしゅぎ:egoism)に陥ってしまう(おちいって:fall into)。みんながこれでは会社の中の雰囲気も悪くなる。チームワークがないため、組織としてまとまらない。これでは大きなプロジェクトなど実施できるはずがない。やはり、全体のパフォーマンスは落ちるのである。

 個人の能力には適性(てきせい:suitability)があり、相応しくない分野に配置されればその能力を発揮できないことがある。従って大切なことは、賃金をどれだけ払うかや雇用を続けるかどうかの指標(index)として能力を測るのではなく、適材適所(put the right man in the right place )で仕事を与えるために、各技術者の多様な能力を評価しなければならない。やるべきことはこちらである。

 以上の理由から、過度な成果主義、能力主義、競争原理は廃止する必要がある。その代わりに採用すべきなのが次の制度である。

 

(5) 年功序列(seniority system)賃金と終身雇用(life-time employment)制度の実施

  年功序列による昇進(promotion)制度を採用すれば、「頑張れば自分もいつか昇進できる」と考え、若い技術者たちが「未来への希望」を持つことができる。すると、日々の仕事への意欲が高められる。賃金が能力や成果によって変動することがないため、精神的に安定する。従って、落ち着いて仕事に打ち込むことが可能になる。焦り(あせり:impatient)やいらいら(irritated)、いつクビにされるかというびくびくした不安な気持ちを抱えて、いい仕事ができるはずがない。むしろ、精神的なストレスやプレッシャーからつまらないミスを続けたり、また批判(ひはん:criticism)を恐れて無難(ぶなん:safe)なアイデアしか提案できなくなったりする。斬新な(ざんしん:novel, original)アイデアなど怖くて出せなくなるのである。これでは新しい商品など出せるはずがない。

 また、子どもの養育費やマイホームのローン返済(へんさい:repayment)など人生で最もお金がかかる時期に給料が増えているため、社員たちが安心して仕事をし、生活していくことができる。以上のような理由から、年功序列は必要である。

 終身雇用によっても同様の効果が期待できる。安心して仕事に打ち込むことができるため、冒険的な仕事、挑戦的な提案ができる。それが製品のイノベーションを産み出す。かつての日本の車や家電メーカーが次々にヒット商品を連発したのは、この年功序列と終身雇用によって技術者たちが安心して仕事に打ち込めたからであった。

 また、長く同じ企業に勤めることになるので、会社への帰属意識(belong)、愛着が高まる。すると、「この会社のためなら死ぬ気で頑張ろう」とか「この会社の恩に報いる(おんにむくいる:repay for my company's kindness)ために益々頑張ろう」という気持ちになる。日本の企業がかつて1960年代から70年代にかけて「高度経済成長」を続けていたとき、社員たちは会社を「家族のようなもの」と考えていたという。こうした意識が、会社のために「身を粉(こ)にして働く」という日本人独特の働き方をもたらし、それが数々のイノベーションを生んだのである。

 

(6) オーストラリア国内の内需拡大(ないじゅかくだい:home consumption, domestic demand) をはかる。 

   我が国(オーストラリア)が自由貿易を制限し、国内企業を保護する以上、オーストラリア産の工業製品の輸入もまた他国によって制限されることになる。従って、工業製品の外国への輸出高(ゆしゅつだか)は伸び悩むことになるかもしれない。企業の収益も下がる。しかし、その分は、国内需要を高めて、そこでもうければいいのである。国内の需要は、(5)で述べた「年功序列賃金」と「終身雇用制」によって高められる。安定した仕事と収入があれば、購買意欲(こうばいいよく:the will of purchase)も高まる。また、仕事と収入の安定は、結婚や出産など家族を作る意欲を人々に与える。それはさらに車やマイホームの購入意欲も産み出すだろう。年功序列と終身雇用があれば国内需要を十分に高めることができ、グローバル経済に呑み込まれずにすむのである(not swallowed)。 

 逆にグローバル経済に同化すれば、能力主義や成果主義、競争原理によって多くの技術者、労働者が仕事と収入を失う。国内の需要はなくなり、外国への輸出で稼ぐしかなくなる。しかしその輸出企業は恐らくオーストラリア国内に製造拠点(きょてん:base, foothold)を置かない。世界との輸出競争に巻き込まれるため、人件費(personal expenseslabor costs)の安い国に工場を移すからである。結局、我が国の製造メーカーはこの国の「国民経済」に全く貢献しない(do not contribute)。これがグローバル化した現代世界における企業の姿であり、我が党は、このような企業活動を根本的に改革(かいかく:reform, renovation)するつもりである。 

 

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