1930年代後半のドイツのアウトバーン
1930年代後半のドイツのアウトバーン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%81%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84#/media/File:German_Autobahn_1936_1939.jpg
【この写真のメッセージ】
「大恐慌」の影響をヨーロッパで最も影響を受けたのがドイツであった。第1次大戦敗戦後の経済的混乱からアメリカの援助などで立ち直ったドイツ経済であったが、「大恐慌」でアメリカからの資金援助がなくなり、失業者が600万人に達するなど、再び経済的な大混乱に陥った(おちいった)。そんな中、国民の支持を集めて台頭したのがヒトラーである。彼は権力を握ると大規模(だいきぼ:large scale)な公共事業を次々に実施し、雇用(こよう:employment)を創り出し、失業問題を解決していった。写真のアウトバーンもその公共事業の一つである。こうして経済問題を解決したヒトラーは国民の圧倒的な支持を集める。やがてその支持を背景に軍備を増強し、領土を拡大する。そして第2次世界大戦の引き金を引くことになった。
ドイツは、ヒトラーのおかげで経済的に一時的に息を吹き返した(come around)ものの、それは次にやってくる激しい戦争の前の、わずかな時間の安定(stability)に過ぎなかった。恐らくドイツ国民もやがてやって来る戦争のことを、予感していたのではないだろうか。そんな不吉(ふきつ:ill-omened)な未来が待っている気がしたので、心からレジャーを楽しむことはできなかったのだろう。それが、これだけ広い高速道路に車がたった一台しか走っていないことの理由ではないか。この写真は、ドイツに漂う(ただよう:hang over)この不吉な雰囲気を暗示していると私は思う。
【この写真を選んだ理由】
「大恐慌」が世界に広がったことの証拠として、またそれが世界に不吉な「戦争の種」をまいていったことの証拠として、この写真を選んだ。
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